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2. 眉間皺が消えない
三蔵が執務室で机に向かっていたところ、悟空がとてとてと入ってきた。
「三蔵。はい、お茶」
そして持ってきたお盆を机に乗せる。
「……おい」
筆を持ったままで、三蔵が低い声をあげる。
「ん?」
壁際においてあった椅子をガタガタと引き摺ってきて、その上にちょこんと座った悟空が小首を傾げる。
「邪魔だ。どかせ」
「だから、お茶の時間だって。ほら。三蔵の分」
悟空は皿から饅頭を二つ取り上げると、一つを三蔵に差し出す。
「まだ仕事中だ」
「朝からずっとじゃん。そろそろ休憩した方がいいよ。だって、ほら、ここ」
いったん三蔵にと差し出していた饅頭は皿に戻し、もう1つは自分の口に押し込んで、もごもごと一瞬で咀嚼してから、悟空は三蔵の眉間に手をやる。
「皺が寄ってる。せっかく綺麗なのに、もったいねぇ」
「……なんの話だ。それに、休憩なんかしてる暇はねぇんだよ」
机の横に積まれた書類の山に目をやって、三蔵がうんざりしたように言う。
「途中途中で、少し休んだ方がいいんだぞ。ずっと走ってたら疲れるだけじゃん」
「走ることとは違うだろ」
「おんなじだって、八戒が言ってたぞ。だから、気をつけてあげてくださいねって。三蔵、無理をしすぎるところがあるって」
じぃっと真剣な目で見られる。ただ単に心配しているだけでなく、八戒の入れ知恵か、と三蔵は溜息をついた。
「別にこれくらいは大丈夫だ。わかったら――」
と、突然、三蔵のすぐ目の前にと悟空の顔があった。
なんだ――と考える間もなく、唇が重なる。
三蔵の口のなかに、先ほど悟空が食べていた甘い味が移ってくる。
「うまいだろ? 三蔵の好きな餡子がいっぱい詰まってるぞ」
にっこりと笑い、悟空がまた饅頭を差し出す。
「頭を使うには、甘いものが必要だってのも八戒が言ってた……って、三蔵?」
そんな悟空の手首を掴むと、いったん離れて遠くなった距離を先ほどの距離まで――ほとんど触れ合うまで近くまでに戻す。
「ったく、お前は……」
そして、苦虫を?み潰したような表情を浮かべる。
「仕事、終わんねぇのは、お前のせいな」
「へ?」
脈絡のない言葉に意味がわからず、悟空は目をぱちくりとさせるが。
「あ。三蔵。なんだよ。眉間の皺、もっと深くなってるじゃん。だから、饅頭食べろって言ってるのに」
三蔵の顔を見て、掴まれている手に持っている饅頭を改めて三蔵に差し出そうとする。
「それはいいから、お前を食わせろ」
「……え?」
「甘いものを取った方がいいんだろ?」
「ちょ……っ、待った。いきなり、なに? 甘いものなら饅頭……」
「じゃなくて、お前だろ」
「えぇぇっ。待った。ちょっと、待った!」
さらに近づいてこようとする三蔵を、悟空は押し返す。
「待てねぇよ。ってか、さっきはお前からしたんだろ」
「だって、あれは饅頭の味を教えたくて」
「そうだな。お前がどこもかしこも甘いってのを思い出した」
「そうじゃなくて。ってか、俺は甘くねぇ――……っ」
続けようとする言葉は、三蔵の唇で塞がれて音にならない。
「そうか。こんなにも甘ぇぞ」
二人の間で、唾液が糸を引いて落ちていく。
「もっと味わわせろよ」
低く囁き、三蔵はもう一度、悟空にと唇を寄せていった。